展示会主催最大手もオンラインを重視へ

展示会主催最大手もオンラインを重視へ

展示会主催の最大手、リードジャパンが本格的にオンライン展示会に取り組むことを発表しました。

 

同社は、2021年中にリアル展示会も301本(34分野)開催するのですが、リアルと併設のオンライン展示会ではなく、オンライン単独の展示会を開催するわけです。

第1回 Japan IT Week  2021年6月16日(水)〜18日(金)

他のビジネス慣習同様、リモートやオンラインの便利さが理解されたことから、展示会も「リアル展示会が開催しづらい状況ならオンラインでいい」、「オンラインだからこその良い点があるじゃないか」という意見が浸透してきた結果でしょうか。

一部ですが、弓削がオンライン展示会セミナーでお伝えしているメリットは次のような点です。

 

オンライン展示会のメリット

◉場所と時間の制約を超える

まず、時間と場所の制約を超えるのはインターネットならではの特性ですね。

来場者は北海道や九州から気軽に参加できるのはもちろん、海外からも来場してもらえます

ただし、新幹線乗り入れで発生するストロー現象のように、地方カラー豊かな展示会の影がうすくなってしまうようですとつまりませんね。

環境系の展示会や地場産業に立脚した商談会などは、コロナ後には立派に復活して欲しいところです。

 

◉出展料・諸経費が安価

発生する経費が安く済むのももちろんのことで、搬入・搬出経費や出張費、宿泊料もかかりません。

これまで出展料が高額であるため出展を躊躇してきた会社さんにとっては、まさに朗報です。

ブース設営費用が発生しない代わりに動画作成やポスター要素を用意しなければなりませんが、主催側が手慣れていれば、対話式でフォーマットにデータを入力することで自社ブースやページが完成したりもします。

そして、リアル展示会でブースの面積を誇ってきた大手企業も、予算ギリギリの中小企業も、オンライン展示会では同じ1ページのブース

自慢の技術力と、明解なメッセージで対等に勝負しようではありませんか!!

 

◉来訪者属性の把握がスムーズ

これはオンライン展示会サイトに訪問する段階で属性データを記入しており、これらの個別情報が訪問ブースの企業に提供されます。

この点は、情報提供がよりスピードアップしていくとよいでしょうね。

会期中の営業対応も、資料のダウンロードやチャットになっており、一日中立ち尽くしという従来のスタイルではありません。

 

◉検索やマッチング機能が利用できる

こちらもオンラインだからこそですが、出会うべき会社のブースをさっと検索でき、クリックするだけで訪問できるのですから高効率です。

さらに、ニーズなどを入力することでAIが「あなたが訪問すべき企業ブースはこことここ」と教えてくれるのも便利。今後、精度が高まっていけば強力な武器になりそうです。

 

もちろん、一方ではわるいこともあります。

展示ブースの設営業者さんが困っていること、リアル展示会の支援をしてきたコンサルタントや業者さんが戸惑っている様子はあります。

設営業者さんは東京オリンピックで廃業を考え、コロナ禍で崖から落とされ、東京オリンピックの延期でとどめを刺された格好です。

展示会のアドバイザー、コンサルタントさんも、これまでウェブを扱ってこなかったため、ちょっと支援内容がズレてしまっているようです。

決して経費の潤沢ではない中小製造業を支援していると、「ウェブでの営業」は必須のノウハウ。

弓削としては技術がわかる点にくわえ、今後はそこを生かして展示会セミナーでは「キービジュアルの作り方」などを前面に出していきたいと考えています。

 

オンライン展示会の今後

今回、リードジャパンさんが開催に至った「Japan IT Week」は、もともとネットとの親和性が高い分野の展示会

これまで、展示会のセミナーでは「SEOサービスを販売しているIT企業が出展するほど展示会は有用」のような言い方もしてきました。

ブースを訪問した次の瞬間、当社の企業ウェブサイトを閲覧できるのですから、商談に結びつく確率も高まるでしょう。

ただ、3日間で終了してしまうのはもったいないですね。

会期終了後も、1ヵ月くらいはアーカイブを残しておき、訪問できるようにしたらよいのではないかと思います。

 

さて、いま開催中のオンライン展示会「2020産業交流展」を訪問しても感じましたが、主催者が徐々にオンライン展示会に慣れてきています

つまり、開催されるオンライン展示会の質が高まっているのです。

今後、出展者にも来場者にもメリットの大きいオンライン展示会が増えてきますと、中小製造業にとって有意義な商談、販路開拓の場がひとつ生まれた、ということにもなります。

もちろんコロナ後には、いままで通りリアル展示会も上手に組み合わせて活用することで、ものづくり企業の多面的な営業展開ができるとよいと思っています。

 

製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。

 

 

 

本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

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