コロナとどう対峙すればいい?

本日はエッセイのような内容ですので、お読みにならなくてもだいじょうぶです。

 

近日、また新型コロナの感染者数が増えてきて、再度の自粛があるのか、と不安視されています。

「いやいやPCR検査数が増えたから感染者数も増えて当然。大丈夫です」

「しかし、感染確率は以前の1.8%から5.9%に上昇しています」

「でも新宿区では、コロナ感染者に10万円の見舞金を出すというから増えているのです」

むむ……

タモリさんも、「専門家の言うことが全部違うので困る」と言っていました。

 

今回のコロナ禍において日本も世界的も迷走している原因は、結局のところ専門家がいないからだと思うのです。

テレビの報道番組などで「今後の感染状況はどうなると考えられますか?」とキャスターに問われ、(私に訊かれても…)と困惑する専門家(多くの場合は医学者や臨床医)をずいぶん見ました。

かと思えば、海外と比較して日本の感染者、死者ともに少ない理由はいまだ不明です。

台湾が、中国の情報に敏感であるがゆえ、いち早くヒトヒト感染を察知し、中国からの渡航者をシャットアウトできたためにウイルスを早期に抑え込めたことは理解できます。

しかし、日本は春節の大量旅行者をうかうかと中国から受け入れたにも関わらず、罹患者が少ないのです。

 

なんちゃって専門家が多すぎる

横浜港に停泊した大型客船への対応で日本は世界の“専門家・専門機関”から批判を浴びましたが、その後、各国はよりひどい対応をしでかして、日本は逆に優等生とされました。

世界に指針を示さなければならないWHOは、代表の事務局長が的外れで後手後手の発言を繰り返したため、すっかり存在意義をなくしました。

また、ある医学者は国民全員のPCR検査をするべきだとテレビ番組で主張し、素人の意見だと他の医学者らから指弾されていました。

 

一方、統計学の専門家が、「ロックアウトは感染防止には効果がなく、ちゃんちゃらおかしい」と言いきって波紋を広げました。

そもそも以前から医学者は、マスクを使用しても感染を防ぐ効果はないという意見が大勢でした。

効果がゼロかパーフェクトか、という考え方は理系らしいのですが、「まあまあ、効果はある」「感染者の飛沫防止には相当効果がある」というのが実状なのです。

責任を問われる専門家としては中途半端なことを言えないことは理解できますが、人間は鼻毛がまばらに生えていることさえ感染の抑止効果があるものなのです。

 

横断的な知見がなければ語れない

ウイルスの性質や症状を知ったうえで、行政の自粛要請に対して人びとがどのように行動し、どのていどハメを外すか、民族や生活習慣によって罹患率はどう変化するか。

あるいは、握手やキス、ハグの習慣。

欧米ではマスクは不気味なものであり、寝室のベッドまで靴のまま上がるのが当たり前という文化。

 

スウェーデンではロックアウトなどはせず、80歳以上、および基礎疾患を持つ70歳以上の患者は病院に行っても治療してもらえません

ほぼ強制的尊厳死ですが、それでいいのかどうかは哲学的な問いも含みます。

つまり、臨床医、感染学、社会学、心理学、哲学、統計学、文化人類学などの知見を横断的に求められるのです。

しかも、当該コロナウイルスは新型で未知の存在なのです!

 

賢者として歴史に学び過ぎ

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と申します。

それは事実なのでしょうが、今回の状況を説明するために「ペストのときはこうだったので……」(歴史学者?)、とか「1930年代の世界恐慌と同様の危機ですから……」(経済学者?)のような論調も聞かれます。

頻繁な海外渡航もないかわりにウイルスの正体もわからなかった時代と、1年経たずしてワクチン開発ができる現代とを同列に比較はできませんし、何度もの不況を経験した欧米中では適切な対策(財政出動と金融緩和など)もできる環境です(日本は除く。すでに、アメリカ(州で異なる)、イギリス、ドイツでは消費税の減税が決定しました。)

 

また別の人は、「一定数以上の人が感染して、集団免疫を獲得すればいいのです」とも発言。

スペイン風邪の終息は、集団免疫によるものだったのです(きっぱり)みたいな。

かと思えば、感染しても無症状の人も多い、と報道される反面、ウイルスが消えたあとも微熱や耳鳴りの後遺症が残る人がいる、と脅します。

 

もう、誰の意見を聞けばいいのか、よくわかりません。

一貫して感染者推移の予想を的中させている専門家では、元大蔵官僚の高橋洋一氏しかいません。

同氏の専門は数理学ですが、統計に詳しい上に経済にも明るく、一時期は感染症の統計を研究していた時期もある人です。

これからはどうしたらいいものやら。

 

 

製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。

 

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