シーズ開発 vs ニーズ開発!

シーズ開発 vs ニーズ開発!

人気漫画「バクマン」で、新人漫画家の指導にあたる編集者のセリフです。


「ヒットする漫画家には2種類ある。ひとつは、自分の描きたい世界を追求して成功するタイプ。天才というか天然だね。もうひとつは売れる漫画とは何かを研究してヒットを飛ばすタイプ。一発屋では終わらないし、編集者としては楽だ。でもね、ほとんどの人気漫画家が、前者のタイプなんだよね…」

 

これは、まさに商品開発におけるニーズ開発とシーズ開発の違いの説明、そのままですね。

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ニーズ開発 → 顧客へのマーケティング調査からニーズを汲み取り、開発する手法

シーズ開発 → 社内で新開発された技術や機能を元に、商品化につなげていく手法
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その現場例を、弓削がよく知る電機メーカー2社の比較で見ていきたと思います。

 

E社は、マーケティング部門の発言権が弱く、技術開発部門(親会社)が「出す」と決めた製品をそのまま発売する流れが定着している会社です。

商品は、目玉となるトンガリがなく、細かな多機能を搭載したモノになりがちです。広告を制作するときに、いつも何をメインメッセージにするべきか悩みました。

 

かたやC社の新商品は、思わず「えっ?」と驚くほどの新機軸を打ち出してきます(価格も、あっといわせる大胆な値付け)。

仮にマーケティング調査を重ねても、こうした新カテゴリーの商品をつくるヒントは得られないだろうな、と思わせられるものです


かつて、ソニーの盛田会長はいいました。「消費者へのマーケティング調査は必要ない。何ができるかを知っているのは我われだから」。

 

上のE社とC社、実はどちらもニーズ開発ではないのですね。しいていえばシーズ開発です。ところが、同じシーズ開発でも、その運用はまったく異なっています。

E社は、開発部門がシーズにまかせて商品化する。

これに対し、C社は出てきた新技術に、単なる調査や積み上げでは出てこない特異なアイデアを乗せて商品化する。


「それって、たとえばどんな製品?」。

実例、知りたいですよね。

 

C社は液晶技術に強みがあり、開発したデジカメの新製品に液晶画面をつけました

当時、まだデジカメもファインダーを覗いて撮影するのがあたり前だったため、「それは機能の重複」「邪道であり、すぐに消える」などと業界内の評価はさんざんでした。

ところが、発売してみるとお客様が選んだのは同社の液晶画面付きデジカメのほうでした。同商品は大ヒット商品となり、それ以降は液晶画面つきデジカメが常識になりました。

おそらく、マーケティング調査をしても、「液晶画面はいらない」という結果になっていたと想像されます


つまり、シーズ開発がいいか、ニーズ開発がいいかの解答は、「ニーズ開発のほうが確率は高くなるかもしれないが、時代をつくるような大ヒットは違うところから生まれてくる!」というもの。

まるでウルトラCのような発想で…、ということになるでしょうか。そこには、マーケティング調査などには頼らず、ユーザーの使い方を徹底的に研究するプロ技術者ならでは視点がある。

そもそも、マーケティング調査なんて時間のムダ、というのが私の主張ではあります。マーケティング調査の是非については、また記事を書きたいと思います。

 

 

本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

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