コーポレートカラーの意義と決め方

コーポレートカラーの意義と決め方

 

コーポレートカラーは単なるロゴの色ではなく、企業のアイデンティティを視覚的に一瞬で伝える強力なマーケティングツールです。

 

まずは事例をご紹介したいと思います。
新潟県三条市に諏訪田製作所さんという、非常によく切れる爪切りを作っているメーカーさんがあり、こちらのコーポレートカラーは真っ黒です。

 

本社の社屋も外観は真っ黒ですし、工場の見学コースも真っ黒。出口のアウトレットで爪切りを買うと、そこでいただくパッケージも真っ黒。展示会に出展しているブースも真っ黒ということで、黒で統一されているわけです。

また、こちらの爪切りがすごくよく切れて、私が購入したのは8年前ですが、切れ味がほとんど変わりません。

さて、なぜ黒なのか? ということなんですが、諏訪田製作所さんのルーツは鍛冶屋さんです。

鍛冶屋さんというのは、トンテンカンテン打つ仕事場を真っ黒に塗っています。それによって火花が飛んでどこかに引火するというのを見なきゃいけませんし、炎の色を見て温度がどのぐらいかを判断したりするわけですね。

そのための黒が、諏訪田製作所さんのコーポレートカラーになっているわけで、そういうふうに理由があるということを聞くと、何だかカッコいいなと思えてきます。

 

成果の出るコーポレートカラーの決定方法

次に、コーポレートカラーの活用で成果を出すために、特に押さえておくべき重要点を5つまとめました。これでブランドの信頼性を高めるということにつながると思います。

 

1「競合他社との識別性を確保する」

コーポレートカラーの、最大の役割の一つは差別化です。

「あの色といえばあの会社」のように、一瞬で自社だと分かる認知を獲得するには、ユーザーとのあらゆる接点で同じ色を使い続ける必要があります。

「規定のコーポレートカラーばかりを使っているので飽きてきた」というマーケティング担当者さんもたまにいるんですけれども、お客さんのほうは全然飽きていませんよ。

もう3年、5年、もしかしたら10年使いつづけてやっと、「この色はあの会社なのかな」と認識してくれる程度なのです。

ですので、こちらとしては飽きずに使い続けることが必要です。

ロゴはもちろん、ウェブサイトのカラーとか、名刺とか資料、広告、SNS、封筒、会社案内とか看板とか、営業車のラッピングとか、ユニフォームとか、パワーポイントの資料のアクセントとか、展示会のブースも、いろんな場所で色味、比率、使い方をきちんと揃えて、視覚的なアイデンティティの徹底した一貫性を保つということが必要になります。

 

2「感情とか心理的ベネフィットを戦略的に設計する」

単に好きな色を選んでコーポレートカラーに選定するのではなく、やはり顧客に抱いてもらいたいイメージで選ぶ、というルールがあります。

色は言葉より速く感情を伝えるツールであり、「ターゲットにどんな印象を植え付けたいか」から逆算して色を決定して活用していくことが重要です。

顧客にどんな感情を抱いてほしいかを言語化して、それを色の選定に反映させてください。

例えば、信頼感を抱いてほしいとか、安心感、革新的であるとか、親しみとか高級感とか。

信頼感とか誠実さとか技術力は、やはり青系でしょうか。情熱とか活力とか、あるいは食品だと赤系ですね。これは飲食系、食品メーカーとか、エネルギー関連に多いですよね。

そして安心感とか持続可能性とか、ナチュラルさという環境関連とか、健康関連の企業に多いのは緑系とか、そういうこともありますね。

さらに、同じ青でも、鮮やかな青なのか、落ち着いた青なのか、あるいは使っている面積でも大きく印象が変わってきます。

 

3「70 対 25 対 5の黄金比率を適用する」

コーポレートカラーは主役ではあるんですけれども、全面に塗ればよいというわけではないんですね。あまり多用すると安っぽく見えたり、情報が伝わりにくくなったり、読みにくくなったりします。

ですので、デザイン全体における色の配分をちゃんと決めてお区ことが必要です。それによってブランドの洗練度も伝わります。

まずベースカラー。これは背景の色なんで、紙だと白だったりとか、ウェブサイトのグレーとか、一番広い面積ですよね。これが70%。

そして、コーポレートカラー、これがブランドの主役であり、デザイン上もメインカラーですが、これが25%ていど。

加えて、アクセントカラーが5%ていど。これは反対色などを選び、お問い合わせのボタンの色とか、行動を促す箇所を目立たせるために使用します。

上記の比率を守ることで、資料とかウェブサイトが「散らかった印象」になるのを防ぐわけです。

 

4「社内で共有できるルール化をする」

コーポレートカラーはデザイナーさんだけが理解して使えばいいということではありません。例えば広報とか営業も、あるいは広告宣伝部、マーケティング部はもちろん、会社案内をつくる総務部が使用する場合もあります。

その際、各部署で共有できるルールが必要です。

ルールがないと、営業資料や社内資料、外注物などでバランスが崩れる、色が微妙に異なっている、ズレているという美しくないことになりかねません。

多くの場合、DICナンバーと呼ばれる大日本インキ、あるいはPANTONEなどの色コードで指定します。

またはCMYK。これはシアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、ブラック(黒)という印刷の4色。モニターで視る映像であればRGBですね。

そうした色の比率をきちんと決めておいて、マニュアル化して使用していく。

さらに、こういう使用の仕方はOK、これはNG、または推奨する見せ方、レイアウトの比率などをまとめたガイドを用意しておくと、ブランドの統一感を守ることがではます。

 

5「インナーブランディングへの活用をする」

これは社内対策です。コーポレートカラーは外部向けだけではなく、社員の帰属意識とかプライドを高める効果もあります。

例としては、オフィスの内装の一部にコーポレートカラーを取り入れる、あるいは社内向けの備品とか、ノベルティグッズなどに活用する、などです。

社員さん、従業員さんがその色を目にするたび、自社の理念とか、誇りを再認識するような仕掛けを作ることで、組織の一体感を醸成していく──。

そういうことにもコーポレートカラーを活用していきましょう、ということです。

 

以上5つを守ることにより、コーポレートカラーは飾りではなく、記憶と信頼を積み上げる仕組みになっていきます。正しく使えば、説明しなくても伝わる、視覚的な武器になるのです。

 

 

 

製造業マーケター、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。

本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

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