商品開発のヒント

商品開発のヒント

関西の大手家電メーカーが不調になり、多くの技術者が流出しました。

その人材を受け入れたのがアイリスオーヤマです。

有名なプレゼン会議からのスピード開発体制により、ユーザーの痒いところに手がとどく新製品を次つぎに発表。

「なるほど家電」というキーワードで世に送り出し、人気となっています。

同時に2種類使えるホットプレート、靴も乾かせる布団乾燥機、電気式の圧力鍋、超軽量のスティック掃除機など

「なぜ、いままでなかったのか?」とくびをひねりたくなるような便利家電がたくさんあるのですが、大手家電メーカーにできなかったかと言えば、できたと思います。

 

技術的には可能であったけれど、社内体制的に開発できなかったわけです。

他社の例ですが、こんな感じです。

かつてパナソニックでは、床を動き回って自動で掃除するクリーナーを開発しました。

ルンバ? そうです。でも、ルンバが登場するよりもずっと以前のことです。

しかし、社内会議で「家具にぶつかって仏壇のロウソクが倒れたら火事になるだろう」という意見が出て、発売できなかったそうです。

大手企業には、ケチをつけるのが仕事と心得ている人がいるのですね。

せっかくエッジのきいた企画を提案しても、実施の段階にはカドがとれて丸くなって、何が面白いのかわからないような案件になるのです。

 

最近のヒット商品の傾向を見ると、ヒット商品につれて買われるようなコバンザメ商品や、「そんなの誰が買うの?」と言われるようなニッチな商品、あるいはインスタ映えしそうな商品が多いような気がします。

たとえば、高級食パンのブームに乗っかったのが、カネカの[パン好きの牛乳]ですね。

以前の記事で、ユニクロのヒット商品であるコートと一緒に着られるミドルコートを開発したアパレルメーカーのことを書きました。

そして、今年に入って弓削が何件もご相談を受けているのが、除菌、清潔系の商品開発

武漢ウイルスの蔓延により、市場性が見込まれるということでしょう。

ということで、近年、目につきました商品開発の事例を集めました。
どうぞ、ご参考にしてください。

 


 

■佐賀県有田町 スリー・リバース
当地、有田焼の技工を生かしたコーヒー用のセラミックフィルターを開発。
紙製のフィルターが通さないコーヒーの旨味成分を通すので美味しいと評判になっています。

 

■三重県四日市市 スタジオノア
窯元が開発した、ご飯の糖質を17%カットできる炊飯土鍋[気づかう土鍋]が、ダイエッターや生活習慣病を気にする人に売れています。

 

■富山県高岡市 能作
錫(すず)の加工技術を利用して鈴をつくるが売れない。錫が曲がってしまうなら、曲げて楽しめるものをつくろうと、食器を開発してヒットさせた。
さらに、錫の抗菌性を生かして脳外科の手技に用いられるヘラや、関節症の装具を開発している。

 

■静岡県浜松市 東亜工業
オートバイのマフラー金型をつくっていましたが、餃子の製造マシンを開発して大きなシェアを持つようになっています。

 

■奈良県大宮町 菱豊フリーズシステム
フリーザーメーカーの技術を深堀し、電磁波による急速冷凍機、プロトン凍結機を開発。美味しさを保ち、食品ロスを防いでいます。

 

■神奈川県相模原 相模カラーフォーム
樹脂発砲技術を生かし、マスクの耳掛けを首にまわす補助具[くびにかけるくん]を開発。マスクをかける人の急増を受けてヒット商品になっています。

 

■愛知県瀬戸市 朝日インテック
元はワイヤーのメーカーでしたが、医療用機器へと転身し、カテーテル治療など切実な市場で成功しています。

 

■福岡県行橋市 大黒段ボール
段ボール技術を生かして開発した猫の爪とぎ[キャットタワー・スヌーズ]が人気商品に。その他に、子供用の玩具も開発しています。

 

■岩手県盛岡市 タカヤ
製造業に向けて、「働きたくなる工場」の建築を提案する[ファクトリア]を開発し、グッドデザイン賞も受賞。人材採用に困っているメーカーから依頼が途切れません。

 


 

 

製造業のマーケティングコンサルタント、弓削徹でした。

 

本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

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