会社案内のつくり方

会社案内のつくり方

ますますウェブに注力する機運が高まっていますが、それでも会社の信用力をカタチにした印刷物として「会社案内」は必須のようです。

 

弓削はクリエイター時代、会社案内の依頼が非常に多く、リクルートの納品したダメな会社案内の作り直し案件なども請負ったりしていました。

リクルート社は、会社案内のデザイン・ヒナ型をたくさん用意していて、同業種の中堅企業に片っ端から社名だけを入れ替えてプレゼン、制作しまくっていたのですね。

ある会社では、初打ち合わせの開口一番、不要領な担当者に「あなたはリクルートの人?」と訊かれたりしました。

ぜんぜん無関係な名刺を渡しているのにもかかわらず。

相当、リ社に不信感を持っているようでした。

 

さて本記事では、会社案内を制作するにあたり、社内の担当者が何をどのように考えるべきかについて書きます

社長や部長から「そろそろ会社案内を改訂しておいて」と言われ、なんとなくつくる。
それではなかなか実効性のあるツールとはなりえませんね。

なんのために、誰に向けて、何を訴えるのか。

ここから考えていかなければ、ただのウェブの紙版と堕してしまうのです。

 

では、順番に項目別で見ていきましょう。

 

1■目的は?

営業支援寄りの会社案内としたいのか、それとも理念を伝えるブランディングツールとしたいのか…。

これは次項の対象者とも関係してきます。

いずれにしても、結局、自社のウリはなんなのか? が明確でなければデザイナーさんへのオリエンテーションもできないでしょう。

企業のメディアとしては、さまざまなものがあります。

企業ウェブサイト
技術情報サイト
ECサイト
SNS(facebookページ、Twitter、Instagram他)
商品/パッケージ
製品カタログ(総合カタログ、単品カタログ)
営業案内、営業資料(パワーポイント)

こうしたアイテムのなかで、どのように有機的な連携と補完をはかっていくのか。

まずは会社案内の位置づけを、明確に考えなければなりません。

 

2■対象は?

主な対象が取引先(主に新規先)であれば、設備機械のメーカー・型番など、充実した生産体制を訴求するページが必要でしょう。

対象が求職者、つまりリクルート向けであれば、会社案内よりも入社案内のカラーが強くなり、福利厚生や先輩社員の紹介、会社の施設、社会貢献の報告などに重点が置かれるかもしれません。

また、金融機関・投資家を対象とするなら、財務諸表や売上げ推移など、IR情報にページが多く割かれるでしょう。

あるいは、環境報告書/CSR的な性質が強いケースなど、読み手の中核をどこに置くかによって内容は変化しますし、2種類つくるという選択もありえます。

 

3■内容項目は?

前項目の性質を決めたうえで、実際に入れ込む内容項目を検討します。

・企業理念

・代表挨拶

・事業内容

・技術・商品紹介

・歴史・沿革

・組織図

・会社概要 その他

 

 

4■規格・仕様は?

次に、判型とサイズ、ページボリュームをどうするかですね。

ふつうはA4タテの中綴じ(背中をホチキッス止め)、12ページ、16ページなどですが、変形サイズもありです。

郵送の都合(定形封筒サイズや自社封筒規格)に合わせる、ということもあるでしょう。

A4サイズでもヨコ位置開きにする、真四角にする、観音開き、蛇腹にする…。

ページものにはするけれど、「会社概要」部分は変更も見込まれるので、別に1枚ものでつくり、印刷コストを下げる。

興味を抱かせ、開いてもらえるようなギミックとして、表紙に穴をあける、高級感が出るようにカラ押しをする、などなど。デザイナーさんに提案してもらうのもいいでしょう。

 

唯一、オススメしないスタイルは、厚紙のカバー式にして、中身はすべて1枚ペラものを10数種くらい挟むというもの

「相手先によって内容物をフレキシブルに変えられる」「変更があれば1枚単位で印刷できる」などというデザイナーや印刷会社の提案を受けてつくってしまいがちです。

しかし、結局は置き場所の管理がたいへんで新旧版がごっちゃになったり、いちいちピックアップするのがめんどうになった営業サイドなどからクレームが出て終わることがほとんどです。
ユーザー側も、順番がわからなくなったり、紛失したりと、いいことがありません。できれば、避けてください。

 

5■業者選定は?

どこに依頼すればいいのか、という点はどちらの会社も悩んでいます。

「見積の安いデザイン会社で納得のいかないつくりになったことがある」

しかし、「価格の高いデザイン会社が必ずよいツールをつくるとはいえない」

「かといって印刷会社に依頼すれば陳腐なものができる」

「最近は、クラウドソーシングも選択肢に入れてみてはどうか」などなど。

企画・デザイン業界は堅気の会社さんには不案内な世界であるだけに、どうやって決めたらよいか悩みます。

 

支援先業からも、どのような制作会社に依頼すればよいか、というご質問、コーディネートの依頼は必ず出る要素です。

相談相手がいない会社さんなら、いまは1度くらい失敗するのを覚悟のうえでクラウドソーシングで発注してみてはいかがでしょうか、というのが結論ですね。

 

6■スケジュールは?

まず、制作の企画やコンセプトを決める、そして業者を選定するわけですが、具体的なステップとしては、

・コンセプト決定

・業者選定、オリエンテーション

・プレゼンテーション

・企画・構成案修正/決定

・素材収集/撮影/CG加工/イラスト……2weeks

・キャッチコピー(取材/インタビュー)……10days

・デザイン……10days

・内容確認

・決裁者承認

・修正・確認

・印刷入稿

・納品

制作者、会社のタイプによっても異なりますが、おおまかには上記のような進行になります。

実際の制作日数は制作会社さんにスケジュールを出してもらいましょう。

 

最後にコツをひとつ。

社内の担当者としては、競合も含めた他社の会社案内をできるだけ数多く収集し、分析して参考にするとよいでしょう。

そうすると、「なんの会社かわからない」ような独りよがりの失敗例などが目につき、自社ではこうするまい、という客観的な視点を持つことができますから。

 

 

製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。

 

本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

ものづくりコラムcolumn