商標登録の流れと費用

商標登録の流れと費用

本記事では、商標登録出願から登録までの流れと、その際に発生する費用について説明していきます。

 

商標登録は、慣れれば自身で申請することもできますし、社内に担当者を置くのもいいでしょう。慣れないうちや、逆に件数が増えてきたら、弁理士に発注すればいいのです。

 

■登録までの流れと費用

 

前回記事では調査の段階まで書きました。

費用という意味では、「調査」に関しても発生します。

ウェブ弁理士では「申請するなら前提調査は無料」のような価格設定も多いようですね。

いちばんよくないのは、調査が有料の場合に、1件調査して登録可能性が怪しいので、もう1件調査して、やはりまだ不透明なのでもう1件……、というように、ゴールが見えないままに費用がかさんでいくパターンです。
これはぜったいに避けてください。

そのためには、あなたがネットで調査をおこない、登録できるかどうかの目安を持つことが大切です。
前回記事は、そのために書きました。

 

(1)商標登録出願

基本3,400円+8,600円×区分数

電子化の場合、別に1,900円×区分数の手数料

弁理士に依頼する場合、この段階で3万円から5万円の手数料を請求することが多いようです。当然のことながら、7、8万円以上を支払う価値はありません。

いまは電子出願もできますので、条件などを吟味して試してみるものいいと思います。

(2)書類の方式審査

書類の体裁が正しいかどうかをチェックする段階です。

(3)出願内容の公開

商標広報に掲載され、公開されます。

(4)実体審査

いわゆる審査です。これまでの登録件数の膨大さ、毎日、数百件の出願があるスケールを考えると、響きのよいネーミングでありながら類似がないということはむずかしいと思われます。

さまざまな要因で登録できないとなると「拒絶通知」が来ます。

これに対して「意見書」や「補正書」を提出するのですが、先の弁理士の出願手数料にここまでの作業分が含まれているなら安心できます。

 

近年、特許庁では早期審査・早期審理を追加手数料なしに受け付けています。商標をすでに使用していることを条件に、1〜2ヵ月での審査を可能にしているとのことです。

 

(5)登録査定

拒絶通知が来ずに登録査定に至る、あるいは一度は拒絶通知が来たけれど、意見書、補正書によって登録査定になった場合、登録へと進むことができます。

(6)登録料納付

いよいよ登録の段階です。
5年分か、10年分かで2通りの料金設定になっています。

5年 ── 16,400円×区分数
10年 ── 28,200円×区分数

弁理士に依頼をしていると、登録の段階でも料金がかかります。
ここでも、3万円から5万円だと思います。

(7)商標登録成立

めでたく登録となりました!  やった!!

(8)商標広報掲載

ここで、第三者による異議申し立ての可能性もあることにはあります。

(商標登録後の異議申し立て件数は、年間で450ほど。「あとで権利問題が発生しそうな商標は登録しない」が原則なので、異議が認められるのは10%未満)

もっと言えば、商標登録ができても、第三者が権利侵害の提訴をしてくる可能性はありますし、不正競争防止法などの別角度から訴えられる可能性もあります。

NTTのロゴマークは、入念に調査をしたのちに登録したのですが、結果としてある小規模電気店のマークとほぼ同一であったため、損害賠償金を支払っています。


(9)登録更新

20年で権利が切れてしまう特許と異なり、登録商標は更新さえしていけば原則的には永久に権利が保護されます。

更新の年限は、登録時と同様に5年と10年が選べます。

個人的には、食品などのような変遷が激しい商材の場合、5年単位で考えればいいのではと思ったりしています。

5年 ── 22,600円×区分数
10年 ── 38,800円×区分数

これも、弁理士に依頼すれば3万円ていどの手数料がかかるでしょう。

 

■国際特許について

 

主要の数ヵ国が参加しているマドリッド・プロトコルなどの規定を活用すると、一斉に商標登録するチャンスがあります。

ただ、類似商標の調査は国別にしなければなりませんし、商標登録できても法的な対抗要件となりえない国もありますので、まだまだ問題が多いと感じてしまいます。

コストも心配になる国際特許ですが、行政や経済団体による助成金も手厚くなっています。国際出願以外にも、メニューはあります。
あなたの地元の自治体でも調べてみてください。

→ 外国商標出願費用助成事業

→ 中小企業の国内出願に対する助成制度

 

 

製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。

 

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