ウェブで引き合いを増やす方法
「販路開拓3分の計」と弓削が唱えるそのひとつはウェブサイトからのルートです。
本記事では、いかにウェブサイトを活用して有力な引き合い・商談を得るかについて書きます。
実力のある製造業、町工場には、「ウェブの引き合いは、合い見積もり目的だったり、低価格ハンターだったりして、質がわるい」という社長さんも少なくありません。
そういう側面があるのは事実だと思います。
けれど、いまより劇的にお問い合わせが増えれば、そのなかから本気の引き合いを選び、良質な会社と出会うこともできるはずなのです。
■引き合いは2ステップで増やす
企業ウェブサイトにしても、LP(ランディング・ページ)にしても、<アクセスを増やす→引き合いにつなげる>の2段階で考える必要があります。
第1ステップ 第2ステップ
●アクセスを増やす → 引き合いにつなげる
分解して考えれば、課題を感じて検索する人や、潜在的に解決策を望んでいる人に、どうやってアクセスしてもらうか、が第1ステップです。
課題を抱えている人の解決行動(=検索)と、いかに数多く出会うかが効率的な販路開拓の入口だからです。
そのためには、課題を抱える人が検索した結果ページに上位表示されるよう、的確にキーワードを絞り込むこと、それに基づいてSEO対策をおこなうこと、が必要になります。
また、自ら課題を感じて検索しない人のために、PPC広告などによって気づきを与えることも必要です。
●検索・流入の起源 Google/yahoo!、YouTube、SNS、イプロス、NCネットワークなど
●その他の流入の起源 メルマガ、広告、ブログ、リアルメディアなど
第2ステップは、訪問者に資料請求やお問い合わせなどのアクションを起こしてもらうことです。
そのためには、ユーザーが快適に回遊できるページづくりと、魅力的なオファーが重要。
問い合わせを集めたいなら、問い合わせフォームの構成も軽視できません。
■第1ステップ(1 :キーワード)
まず、キーワードをどう考えるか。
自社視点だけでなく、顧客視点でリストアップすることが求められます。
たとえば、あなたの会社はプレス技術がウリで、中国工場なら切削やマシニングセンターを要する加工ですらプレスで仕上げることができるとします。
その場合、「アルミ+プレス加工」を中心とするキーワードで対策をするだけでは不十分です。
切削加工のコストダウンを課題であると考える発注者は、「プレス加工」は検索ワードにしないからです。
「切削加工+コストダウン」という検索キーワードを狙ってこそ、思い通りの新規ユーザーと出会うことができるのです。
逆に、「プレス加工+〇〇〇」のようなプレス加工前提で検索するユーザーは、低価格を探しているケースが多いといえるでしょう。
また、「高品質+〇〇加工」のようなキーワードも、顧客視点ではありません。
「〇〇加工」とともに入力、検索するのは「+アンダーカット」や「+穴あけ」、「+薄板」のような、ユーザーにとっての課題解決アクションのキーワードであるべきです。
自社向けのキーワードを見つけるコツは、自社サイトのアクセス解析機能で検索キーワードリスト(どのキーワードで検索して訪問してくれているか)を見たり、競合サイトのソースから狙っているキーワードを拾ったり、goodkeyword(検索されている関連キーワードがわかるサービス)を参考にしてください。
■第1ステップ(2 :SEO対策)
これは、検索結果の受け皿となる企業サイトやLP、Facebookページなどの品質についてです。
前項に述べたキーワードについてきちんと対応した文章、説明があることが大切です。
ユーザーが困って検索するキーワードを、真正面から受け止める文章内容であってこそ、Googleも「このページを見たらいいよ」と推薦してくれるのです。
SEO対策といえば、かつては被リンクを大量購入したり、キーワードを見えない文字色で敷き詰めたり、やたらとページ数を増やしたりした時代もありました。
その後、Googleの検索エンジンはどんどん賢くなり、ほぼ人間のような判断を超人的にこなすようになりました。
2018年、2019年のGoogleアップデート以来、よく言われるのがEATというキーワードです。
E 専門性 Expertise
A 権威性 Authoritativeness
T 信頼性 Trustworthiness
小手先の対策はむしろ逆効果であり、読者が本当に読みたくなるような役立つ文章がたくさんあり、頻度高く更新・追加されていることが求められるのです。
前提としては、レスポンシブ(スマホで見やすく表示される。モバイルフレンドリー)であることや、セキュリティ対策済みである(httpsとなっている)ことが必要です。
このことは、ユーザーがスマホから訪問しない業種でもそうですし、サイト内の画像の一部がhttpのままであってもダメなのです。
一方、内部対策(ソース内のメタタグなどの記述)は、それほど影響しなくなりました。
被リンクは以前、重要ですが、数あればいいのではなく、重要なサイトからのリンクでなければ評価されません。
その他では、企業サイトなどでは少ないケースだと思いますが、無料レンタルサーバーの利用などにより、広告が表示・掲載されているのもよくありません。
●SEO対策
・十分なキーワード出現率
・質の高い被リンクを得る
・更新頻度を高くする
・十分なページ数を追加
・ワードプレス化
・モバイルフレンドリー
・1ページ2,000字以上
・表示スピードが速い
・セキュリティ対応(https化)
長文の記事がたくさんあればいいとして、大手企業ではクラウドソーシングなどで100記事単位の大量発注をすることがありますが、それもGoogleは見抜いてしまいます。
ということで、顧客のニーズや検索キーワードに対応するカタチで、本当にユーザーの役に立つ、専門性の高い記事を、2,000字以上、できれば3,000字以上の記事を書いて、頻繁に更新してください。
技術解説や用語説明、発注の際の留意点、工数を減らせる設計のコツなど、ユーザーの役に立つならなんでもいいのです。
そうした正攻法でしか、検索上位は獲得できない時代なのです。
これは、いわゆるコンテンツ・マーケティングという手法ですので、別に1記事を書きたいと思います。
■第1ステップ(3 :ウェブ広告)
ウェブ広告には、検索結果に表示され、クリックされると課金されるPPC広告(リスティング広告)や、ディスプレイネットワーク広告(バナー広告など)、アフィリエイト広告などなどがあります。
一度、あるサイトを訪れると、いろいろなサイトで広告が追いかけてくるリターゲティング広告は、一部では気味がわるいと言われていますが、現実的には効果的でしょう。
また、SNS広告も出稿できます。
FacebookやTwitterをしているときは、ユーザーの気分は発注モードではありませんので、どうしてもクリック率は低くなります。
ただFacebook広告は、地域、年齢、職業などを細かく絞り込んで表示させることができますので、業種、商品の種類によっては効率的な集客に結びつくかもしれません。
さて、SEO対策に比べると広告出稿は“贅沢品”と受け止める向きもあると思います。
しかし、オーガニック(自然検索)な対策も時間やコストがかかりますから、新製品導入などの初期立ち上げ対策としては即効性を持つ有効な手段であると思います。
そして、広告となればキャッチコピーが必要になりますが、キーワードの項目でも書きましたように、ユーザーの内的なニーズに刺さるメッセージを書くことが重要になります。
その他では、インフルエンサーやYouTuber、アフィリエイターを活用する方法もあります。
TwitterやインスタグラムなどSNSで多数のフォロワーを持っている人をインフルエンサーと呼び、この影響力を利用して商品をオススメしてもらう方法です。
これを動画でおこなうなら、いわゆるYouTuberへ案件を依頼することになりますし、インフルエンサーまでいかないアフィリエイターを活用することになります。
いわば、タレントを起用する広告手法のマイナー版のようなものです。
利幅の取れる商品であれば検討をしてもいいでしょう。しかし、アフィリエイターなどを起用することに躊躇する会社もあるのは事実です。
と、第1ステップについて書いてきたところで、本記事もだいたい3,000字ほどになってきました。
第2ステップの項目に関しては、次回の記事に譲りたいと思いますので、ぜひお読みください。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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