ITとマーケティング、どちらが先か?
吉祥寺の、とある衣料品店で実験が行われました。
店内に数台の小型カメラを仕掛けて来店客の行動を記録し、何が売り上げに貢献するかを調べたというのです。(日経ビジネス’19/8/12号)
その結果、次のようなことがわかったそうです。
・注目度の高い商品を上階に配置すると滞在時間が長くなり、売上は10%増える。
・「SALE」の表示は太いゴシックにすると売上が増える。
私は店舗のプロではありませんが、これでは本質的な売上増加にほど遠い分析であるとわかります。
まず、注目度の高い商品は上階ではなく、1階入口近くの目立つ場所に置くべきです。それにより来店者が増え、売上は10%以上増えるでしょう。上階に置いたのでは、流入客の母数が増えません。
また、SALEのフォントが太い方がよいことは実験しなくてもわかります。
さらに、ゴシック系よりも、明朝テイストのまま太くするほうがよい結果に結びつくでしょう。
明朝のままで太いってどんな書体?
デザイナーに聞いてみてください。単純に「太明朝」ではありません。
タイポグラフィに詳しいグラフィックデザイナーなら「この辺です」とすぐに候補を教えてくれるでしょう。
さて、上記の調査を主導しているのは、元々は看板制作の会社さん。
着眼点はよいのですが、マーケティングの素養にかけるために分析や仮説がズレてしまっています。
こうしたIT活用に際しては、マーケティングのプロを起用するか、AIを導入してしまうかのどちらかが必要なのでしょうね。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削徹でした。
本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。
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