ECサイトを立ち上げる方法
通販サイト(ECサイト)を立ち上げる道筋について。
本記事では、中小製造業が自社商品をウェブ経由で販売する場合、どのような選択とやり方、コツがあるかについて書いています。
さて、自社のオリジナル商品を開発したからには、ネットでの通販に取り組んでみたいと考える会社さんは多いでしょう。
しかし、自社通販サイトを立ち上げようとして、巷のウェブ制作会社に丸投げすれば、ヘタをすると1千万円の請求書を受け取ることもありえます。
自社通販サイトであればとうぜん自由度は高く、思った通りにつくれます。
とはいえ、ウェブ制作に対する明確なイメージがないうちに、自由度も料金も高いウェブサイトをつくろうとするのは「鶏を割くに牛刀」の印象が拭えません。
最初は小さくはじめるほうが理にかなっていますし、ウェブ活用のカンをつかんでから、思い通りの仕組みにこだわればいいのです。
では、ネット上にはどんなサービスがあり、それらをどのように使い分けていけばいいのでしょうか。
だいたい、通販サイトをつくる上でのハードルは、次の3つではないでしょうか。
(1)商品ページをどうつくるか
(2)決済をどうするか
(3)発送をどうするか
商品ページやランディングページの制作は、使いやすいテンプレートが用意されていれば外注なしでもできそうです。
決済は、クレジットカードやなんとかペイを自社で契約しなくても利用できるサービスがあると助かります。
発送は、Amazonに丸投げすることもできますし、クロネコヤマトに出荷サービスを委託することもできます。
ということで、以下は、サービスの内容別 通販サイトの考え方・つくり方です。
■無料サービスを利用する
最初は無料でできる通販サービスから見ていきましょう。
まずは、テレビCMも放映されている「BASE」、そして「stripe」ほか。
基本的に無料ではじめることができ、決済機能もあります。
ランディングページを置くのなら、「ペライチ 」というサイトサービスもあります。
商品が売れてはじめて手数料が発生するカタチです。
ページデザインは、まぁまぁ豊富なテンプレートが用意されていますので、サクッと通販サイトを開設することができます。
個人でもカンタンに開設できるのですから、会社であれば問題ないでしょう。
■通販モールに出店する
ご存知、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなどですね。
これらは条件がそれぞれに異なっており、料金負担の大きいところから並べると、楽天・Amazon・Yahoo!の順番ですね。
ただしYahoo!は無料の範囲が大きいものの、固定客、検索客の量が他の2店に比べると見劣りするという弱点もあります。
しいていうと、Amazonは「出品する」、楽天は「出店する」という違いが。
また、Amazonでは売れるけれど、なぜか楽天では売れない、という商品があったりする現象も。
各モールの特性を見極めて比較し、どこへ出店するのがよいかを検討するとよいでしょう。
ただ、商品とモールとの相性を考えていても最初はわかりませんので、3つとも出店してみるという選択もありです。
そこから、1ヵ所に絞ったり、将来的には自社通販サイトへと収斂していってもいいわけです。
■通販ポータルサービスを利用する
shopify(ショッピファイ)、メイクショップ、EC-Cube、ショップサーブほか
基本料金が設定されているほかはBASEなどと同じです。
やや自由度が高くなり、オプションなど思った通りのページをつくることができます。
最初は無料タイプのサービスではじめて、売れるようになってからこれらの有料サービスに移行するユーザーも多いようです。
また、決済機能に特化したレンタルカートサービスを利用することもでき、次のようなサービスがあります。
カラーミーショップ、フューチャーショップ、メルカート
■個人間売買のモールに出店する
メルカリ、ヤフオク、ラクマ、ebay、モバオク
これらは親しみがありますね。
こうした個人売買空間に出店するのはお手軽中のお手軽であり、新商品に市場性があるのか、果たして売れるのか、などを知りたい場合には有効です。
■サブスクリプション系サービスを利用する
サブスク系の商品、サービスを販売することに特化したレンタルカートなどのサービスです。
決済が月ごとであったり、停止しないかぎり引き落としがつづくような課金形式に対応しています。
サブスクストア、侍カート、リピートPLUS、楽々リピート、リピスト、EC Force など
■自社通販サイトを立ち上げる
これは到達点ですね。もっともコストがかかる分、自由度が高く、顧客リストもすべて自社で管理することができます。
けれども、商品点数やカラーバリエーション、サイズも多いとなると、自社で通販サイトをすべてつくるのは相当な手間もかかります。
レンタル系のお手軽サービスではじめておいて、売上が乗ってきたら自前のECサイトを構築する、という考え方でもいいでしょう。
楽天で固定客をつかみ、その人たちにより有利なオファーをして、自社サイトに移行してもらうというやり方もあるわけです。
……ということで、上記のサービスを複合して使うやり方もありえます。
あるいは、ランディングページだけはきっちりつくっておき、決済だけレンタルカートやBASEに飛ばす、という組み方もあります。
カンタンにいえば、
「低コストで自由度が低いやり方」←→「自由度が高いがコストがかかるやり方」
という座標軸のなかで、いまの自社にとってどの位置が最適か、を探ればいいのです。
もっとも小さな、そして失敗しないはじめ方は、無料ショップサービスを利用しつつ、1万円ていどのリスティング広告を出稿して集客してみる方法です。
そのアクセス数に対するコンバージョン(成約)率を見て、「この商品はありかなしか」を判断するという、ミニマムな石橋叩きをおこなってみるのです。
反応が高ければ、大きく展開していけばいい。逆に低ければ、表現の打ち出し方か、商品そのものを見直す、あるいは出直す。
このPDCAであれば、投資対効果は非常に高くなるはずです。
以上、ウェブでの通販展開について述べましたが、何より自社商品の売りのポイントを伝える表現が重要であると思います。
そして、それ以前に、魅力的なオリジナル商品を開発することがもっと大切であるのです。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。
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