顕在化するチャイナリスク 2
日本の半導体技術や新幹線はあざやかに剽窃されましたが、一帯一路プロジェクトによって港湾をとられた東南アジアの国もあります。
こうしたチャイナリスクがあることを承知で、それでもメリットがあると考えるなら付き合うのもよいかもしれません。
このように考えるもとにもなった、私の経験した失敗事例を書きます。
私の支援先の化粧品メーカーが生産していた美容室向けシャンプーを、ある商社(国内企業、ただし社長は中国人女性)が中国の百貨店で販売したいという話が持ち上がったときのことです。
私はこのシャンプーに中国ウケしそうなネーミングやボトルデザインを施し、パッケージ化、カタログも制作しました。
さて、この商品をメーカーが生産して出荷する段階では低価格です。
これを件(くだん)の国内商社は2倍の価格をつけて中国の商社へ販売します。
その商社は価格を2倍にして中国の問屋に卸します。
その問屋は、また価格を2倍にして仲介業者に販売します。
その仲介業者が百貨店や専門店へ、また価格を2倍にして納品するのです。
商売人の手を経るたびに価格は2倍になっていき、店頭に並ぶ段階では日本の価格よりもずっーと高い超高級品になってしまうのです。
そんな価格では中国の富裕層も「さすがに買わないだろう」ということになりました。
だいたい中国で「こういう売り先に伝手(つて)はないか?」と誰かに聞くと、10人が10人「実はいいルートを知っている、私に任せてください」と言うのです。
もちろん、まったく伝手のない人もそう言います。
そうしておいて、その当人も「売り先を教えてくれ」と周囲に聞きまわるのです。
すると、また別の商売人が「オレに任せろ、一枚噛ませろ」となり、こうした無関係な人を伝って、いつか本当の売り先にたどり着く。
そのため、“末端価格”が高額になるというわけです。
話を戻しましょう。
富裕層も買わない高価格ですから、別の販売ルートを探せばよさそうなものですが、私に来た話はそうではありませんでした。
「こんな製品は、微量分析をすればまったく同じ商品をつくるのはカンタンなのよ」と、国内商社の中国人社長から脅迫を受けたのです。
私の知り合いが勤めていた関係で知り合った商社ですが、(やはり中国人はコワイ)となり、関係を断ったのでした。
中国と付き合うリスク、もう1回続きます。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削徹でした。
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