意識高い系マーケティング!

マーケティングの学習はしたけれど、じつは実践経験が少ない。
そういう人の提案には似通った部分があると感じます。
コンサルファームの若手や、資格のみで食べて行こうとしている中小企業診断士の比較的ハイレベルな人たちの中に多く見られます。
まず、「確率で語ろうとする」。
たとえば、展示会で何枚の名刺を集めるべきかという話。
私の展示会手法では「名刺は集めるな」となっていますから、名刺の数にこだわる時点で藤四郎(素人さんのこと)なのですが。
100枚の名刺から14件の商談がスタートし、その中から3件の見積もり依頼が発生し、1件成約するとします。
すると「8件の受注が必要なら名刺は800枚集めればいいということになりますね」と、確率から説く人がいます。
しかし、これは計算通りにはいきません。
「とにかく800枚の名刺」が目標になると、相手の属性はなんでもいいから集めようということになりがちで、いっそう薄いリストになります。
そうすると、まず「14件の商談」が起こらなくなり、成約数は減少してしまうのです。
そもそも、統計を学んでいれば、100や500ていどのサンプルから“確率”を求めても誤差の範囲を免れないことがわかるでしょう。
次に「ペルソナ」
ペルソナとは、個別具体的なプロフィールを描き出し、その人に向けて商品開発をしたり、キャッチコピーを書いたりするものです。
たとえば「都心に住む28歳のOLで、趣味はファッションと食べ歩き。週に1度は女子会を催すが、彼とのドライブデートも楽しんでいる」のような。
架空のイメージ通りの人が存在するかどうかは不明であり、その人が購買してくれるかどうかも曖昧なら、その人の後ろに同様のターゲット層が広がっているのかもわからないという、非常に不確かな話なのです。
こんなことに時間をかけているヒットメーカーはいません。
しかし、ペルソナはマーケティング初心者が必ず通る一里塚なんですね。
最後は、「米国風フレームワーク」。
いまどき、真剣に「4P」とか「3C」、「SWOT」あたりの分析に企画書のページを割いているのはマーケティング1年生。
私もマトリクス分析やPPMはたまにやりますが、確認ていどです。
マーケティングに目覚めたばかりの担当者なら喜んでくれるかもしれません。
ただし、そこから何かが生まれてくるということもありません。
せいぜい、確認メモの世界なので、注意が必要です。
以上のようなポイントを臆面もなく提案してくる診断士さん、若いコンサルさんは、いわば意識高い系。
書籍から学んだアカデミックな知識そのままは、実社会で通用しません。
大学の先生ならあまり実損はないのですが、顧問料を払うプロとなると問題です。
10年後くらいに、経験を積んでからお会いしましょう。
製造業のマーケティングコンサルタント、弓削徹でした。
ものづくりコラムcolumn
- 2025/02/03
- 特化型生成AIでキャッチコピーを書く
- 2024/12/16
- ネーミングを生成AIで作成する方法
- 2024/10/16
- ネーミングのチカラで選ばれる
- 2024/10/11
- リスティング広告のキャッチコピーはこう書く
- 2024/09/10
- 作曲AIの実力とは??