企業スローガンを英語にする?!

企業スローガンを英語にする?!

9●企業スローガンを英語にしたらどうなる?

 

企業スローガンを英語にする会社、増えています。もちろん、大手企業によくみられます。

要因としては、カッコいい企業スローガンを作りたい、あまり具体的にはできない大人の事情がある、じゃ英語にしますか? といったていどのものです。

大手製造業は、海外へ展開していく上でも日欧共通のスローガンは必要なのかもしれません。おそらく、ネイティブ・チェックはしているものと思いますけれど、世界で評価されているのかどうかは不明です。

 

では、国内大手製造業の英文企業スローガンの例を見てみましょう。
(   )内の翻訳は弓削によるものですので、正確かどうかはわかりません。

 

Drive your dreams.   トヨタ自動車

(夢を加速させよう。)

 

make it possible with canon.  キヤノン

(その実現をキヤノンとともに。)

 

Inspire the next.      日立製作所

(次代に影響を与える。)

 

Quality with Surprise   キリンビール

(驚きのある高品質)

 

主語は、顧客か企業か?
ちょっと押しつけがましくも響きます。

私たちは、“動詞から始まる文章は命令文”と教えられています。「Let」を使うと冗長かつ稚拙な文章になってしまうので、これを省略するのはわかるのですが。

 

では本家、欧米の企業スローガンはどうか

 

Think different.     Apple

(違うことを、考える。)

いいですね。背景にはIBMの企業スローガン、「Think」(考えよう)があり、これをいじっています。
かつてのフォルクスワーゲンの「Think small.」(小さく考えよう)も意識していますかね。

 

Coke is it.       コカコーラ

(コークで決まりっしょ。)

さすが。とにかく定番であることは疑いがありません。

 

I’m lovin’ it.         McDonald’s

(あたし、大好きなんだよね。)

微笑ましい。お客様の声。

 

Just do it.       NIKE

(とにかく、やれ。)

コーチの声?

 

Don’t be evil     Google

(邪悪になるな)

では、邪悪な反面教師はどこかといえばマイクロソフトです。

 

とりわけ、ナイキの突き放し具合はいいですね。

「トップアスリートへの道は厳しいのだ」というわけで、夜明けの街を孤独に走るランナーや、一人だけジムに残ってトレーニングをするボクサーなど、映画のようなシーンをイメージしてしまいます。

 

以前、お客様が国民全員であるような大手企業の企業スローガンは抽象的にならざるをえないと述べました。その行き着く先が、「英語表現」というのは必然かもしれません。

 

一方、中小企業の英文スローガンも、まれにあります。
しかし、英語表現が正確でなく、ネイティブが見たら意味不明というケースもあるように思います。

 

Take our position      某防犯カメラメーカー

(我々のポジションをとれ)

なんのことでしょう?

 

for your just         某電機販売チェン

(あなたのためだけに)

狙っている意味合いは「あなたのぴったり、あります」というようなことでしょう。
けれども、ネイティブにとってはカン違いをすることもできないくらい不思議な表現になります。

 

king of system       某カラオケボックス・チェン

(システムの王様)

カラオケ機器のメーカーなら苦笑いですむのですが、カラオケボックス・チェンというサービス業では「おたく独自のシステムではないでしょう?」となってしまいそうです。

 

さて、「カッコいい企業スローガン」をつくろうとすると、英語表現も選択肢のひとつになるのだと思います。

とはいうものの、外国からの渡航者も多いいま、わざわざ英語の企業スローガンで恥をかくこともないでしょう。

渡航者に限らず、ウェブサイトやカタログ、製品パッケージも一人歩きしますし、展示会ブースに掲げたポスターを見た来場者がニヤニヤするということもありえますから。

 

ところで、最後に本記事の冒頭の企業広告をもう一度見てください。

企業スローガンっぽい1行があります。
そこには「夢をかなえるものづくり」につづき、ブランド名として、

NACHI

とあります。

これを見て首をかしげない欧米のビジネスマンはいないでしょう。
なにしろ、ナチ(Nazi)ですから。

 

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コピーライター、製造業のマーケティングコンサルタント、弓削徹でした。

 

本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

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