マーケティング予想の続き

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3つの拡大要素とは

 

これら3つの拡大が進む

前回投稿では「3つの縮小」について書きました。
本稿では、「3つの拡大」が進むのではないかという私見を書かせていただきます。

まず、一つ目はSNSの拡大です。

マーケティングのメイン舞台は20世紀より「広告」→「販促」→「ブランディング」と移ってきました。

当初は広告すれば認知され、商品を買ってもらえた。しかし競合が多く現れてくると、今度はプレゼントキャンペーンなどで消費者の関心を買うことで販売促進をおこなう段階に移ります。

ところが、行き過ぎたキャンペーン合戦により、ブランドが毀損。次はそのブランドへのロイヤルティを育てようとして「ブランディング」のフェーズに入るのです。

そして、21世紀の今やSNS抜きに広告・広報は考えられませんね。
B2B企業においても、それは同様です。

 

拡大の2つ目はデジタルデータです。

ビッグデータが露(あら)わになったことで、すべてがデータドリブンで解決するかのように喧伝されています。

確かに、「抜き取り」式のアンケート調査よりはだいぶましでしょう。とはいえ、貴重なデータ集積も、分析しだいで宝石にも石にもなる点は留意しなければなりません。

そして、3つ目はAIです。

直近でもマイクロソフトからCOPILOTがリリースされたり、GoogleはBARDにGEMINIが搭載されたりするなど、週単位で趨勢が激変する分野です。

役に立つことは自明なのですが、ここにキャッチアップしていくこと自体が負荷かもしれません。

AIは、事実に関わる質問には弱いのですが、企画や構成案などの網羅性については頼れる印象があります。また、企画のプロにとっては補完ていどの価値ですが、はじめて企画を考える人にとっては、大きな底上げ効果が望めます。

つまり、その分野のリテラシーが高くないほどAIは効果的であるということになるわけです。

 

不易と流行を慮ると

ということで、前項の拡大要素は新しいものではなく、「今年も続く」ともいうべきものでしょう。
これまでは中堅企業までが検討、導入していたMA(マーケティング・オートメーション)も、いよいよ中小企業が導入する段階に入ってきたと思います。

こうした最前線は、追いかけていきたい反面、ハズレる事項もあるので注意が必要です(例えばメタバースはどうなるでしょう??)。そのため、不易と流行という思考も顧慮したいところです。

例えば、私の支援先である10人ていどの町工場では、2023年度において(いまさらの)DMによる販促を実施して10社の新規開拓ができました。

あるいは「Z世代をどう取り込むか」などは大手企業にとっての課題であって、B2Bの中小企業にとっては、彼らが40歳も過ぎて決定権者となった頃にお付き合いを考えればいいようなものです。

中小企業にとって、取り入れるべき最先端と、様子を見るべき最先端がある、ということですね。

 

 

 

製造業マーケティングコンサルタント、弓削 徹(ゆげ とおる)でした。

本コラムは、ものづくりの現場での気づきや日々の雑感、製造業のマーケティングや販路開拓に関するノウハウなどをお伝えするものです。 お気づきのことやご質問、ご要望などがありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。

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